TMIシンポジウム2011  開催報告


TMIシンポジウム開催におきましては、天候不順の中、多くのご参加をいただきまして誠にありがとうございました。
約100名ほどにお集まりいただき、日本のエネルギー戦略に関する討議、意見交換等が活発に行われました。

【日 時】2011年12月1日(木)14:00〜18:00

【場 所】東京大学農学部 フードサイエンス棟 「中島董一郎記念ホール」

【主 催】東京大学大学院工学系研究科
           (技術経営戦略学専攻、イノベーション政策研究センター)

【共 催】東京大学政策ビジョンセンター
            独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 NEDO

開催趣旨

 アジアにおけるエネルギー需要の急増、資源制約と原油価格の高騰、自然エネルギーに関する研究開発の進展等の構造変化と福島における原発事故を受けて、今、日本のエネルギー戦略は大きな見直しを迫られています。
 そこで、今回のシンポジウムの主題を「日本のエネルギー戦略を考える」といたしました。
東京大学には、今後のエネルギー戦略の立案に対して、先端的なエネルギー技術、技術経営、経済分析、政策研究等の切り口から、知的貢献を行いうる研究者が多数在籍しています。
今回のシンポジウムを、こうした研究者が専門や所属の壁を超えて一堂に集まり、討議や知識・情報の交換を行う場としたいと考えます。
 また同時に、学外のエネルギーに関連する研究機関や産官学の専門家の方々とのネットワークを拡げる機会としたいと考えます。

プログラム詳細


開会挨拶:北森武彦(工学系研究科長)<以下、敬称略>

北森工学系研究科長より、東京大学技術経営戦略学専攻(TMI)の社会への連携の重要性および今回のセミナーの趣旨を説明するとともに、開会挨拶をいたしました。


基調講演:
「将来の世界エネルギーシナリオと福島後のエネルギー戦略」
田中伸男(前IEA事務局長、日本エネルギー経済研究所 特別顧問)

 アジアを中心とした新興国のエネルギー需要予測を中心とした世界のエネルギー動向に関して、World Energy Outlook 2011の結果を踏まえながら講演されました。
 特に、石油、天然ガス、再生可能エネルギーに関して2035年までにどのような変化が起こるのか、また、以上の変化が各国の政策や関係に対してどのような変革を起こしうるかを中心に述べられました。
 さらに、東日本大震災の福島原発事故が、各国の原子力戦略にどのような影響を与えるかに関して詳細に説明されるとともに、2035年にむけた日本、アジア、ヨーロッパが行うべき様々な政策に関して提言されました。


講演1:「エネルギー戦略に関するTMI専攻の取り組み」
縄田和満(技術経営戦略学専攻長・教授)

 TMI専攻の各研究室がエネルギー戦略に関して行っている研究成果をご講演されました。
 特に、デジタルグリッド、リサイクルシステムにおける行動主体の意思決定と制度設計、電気自動車開発における行動主体の相互依存的意思決定メカニズムの解明、レアアースの安定確保の問題と中国の戦略に関して研究概略を紹介されました。


講演2:「グローバルエネルギーシナリオと産油国の再生可能エネルギー事情」
茂木源人(技術経営戦略学専攻准教授)

 世界中におけるエネルギーシナリオおよび再生可能エネルギーの状況に関して、エネルギー源に着目してご講演されました。
 また、サウジアラビアの太陽光の大規模導入を想定した技術戦略およびエネルギー戦略に関してご紹介をいただきました。


パネル討論:
(パネリスト)
朝日弘(資源エネルギー庁審議官)
木村繁(日本エネルギー経済研究所研究理事)
芳川恒志(東京大学公共政策大学院特任教授)
阿部力也(東京大学工学系研究科特任教授)
梶川裕矢(イノベーション政策研究センター特任講師)
(モデレータ)
坂田一郎(政策ビジョン研究センター教授)

 朝日審議官より資源エネルギー庁のこれからの戦略と課題、木村理事よりエネルギー・環境問題をめぐるアジア地域の動向、芳川教授より世界のエネルギー戦略、阿部教授からデジタルグリッドに関して、梶川講師からエネルギー戦略立案のための知的基盤構築に向けた取り組みに関して紹介していただきました。
 その後、大学等で行っているエネルギー戦略に関する研究をどのように現実の戦略策定に生かしていくのかに関して意見交換を行いました。
 さらに、参加者のみなさまとパネリストの間では、デジタルグリッドを中心とした政策の実施計画および詳細に関して活発な質疑応答が行われました。

閉会挨拶:元橋一之(イノベーション政策研究センター長)

元橋センター長よりイノベーション政策研究センターやTMIの研究目的および社会的貢献に関して説明させていただくとともに、今後も研究を通してますますの貢献をしていくとの言葉で閉会いたしました。


TMIシンポジウム2011の様子